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新事業承継税制と特例承継計画の提出

2019.01.15|お知らせ
 
 日本の会社の70%くらいが非上場株式の中小会社で、そのうち30%くらいの会社の事業承継者が定まっていない状態と言われています。事業承継者がいない理由として、会社を承継しても会社の株式の贈与又は相続に係る税金を事業承継者が払えないとか、会社の借入金に設定されている担保(不動産や個人保証など)となるものを拠出できないなどがあり、それらのご相談を受けることがよくあります。その承継を妨げる要因の一つに税金の負担があり、税務上の問題点を解決するために従前から事業承継税制が設定されていましたが、さらに使いやすくするために特例が新設されました。この特例については、そのことをテーマにしたセミナー等が盛んに行われていることからも内容については、部分的にでもお聞きになっているのではないかと思います。しかし、この特例は、その適用することができる期間が限られています。特例の内容を聞いていながら、さてそろそろうちも考えようかと思ったときに適用期限が・・・とならないようご注意ください。以下、その適用期間が限定されている内容について記載している記事をご紹介します。

 

 事業承継税制の特例(以下,特例措置)では,「特例承継計画(以下,計画)」を策定し,平成35年3月31日までに都道府県へ提出することが要件となっています。また,相続税等の申告書に計画の申請書の写しや確認書の写しなどを添付する必要もあります。したがって,特例措置の適用を検討している中小企業者は、余裕をもって計画を提出されることをおすすめします。

 

■計画の期限後提出は原則認められない

 

 特例措置とは,平成30年1月1日から39年12月31日までの間に相続又は贈与により非上場株式等を取得した後継者が,一定の要件のもと,相続税又は贈与税の納税猶予を受けられ,後継者が死亡したときには納税が免除されるというものです。従来からの事業承継税制(以下,一般措置)との選択適用が可能ですが,各措置は適用要件や手続きに違いがあります。
 例えば,特例措置に限り,計画を策定し,都道府県へ提出して確認を受ける必要があります。計画の提出期間は30年4月1日から35年3月31日までの5年間で,この期間を過ぎてからの提出は認められません。つまり,この5年間に都道府県へ計画を提出しなかった者は特例措置の適用期間内に贈与等があったとしても,適用の対象外となります。
 ところで,計画が35年3月31日までに提出されていれば,贈与等の時期と計画の提出時期はどちらが先でも構いません。
 このため,先代経営者の突然の死亡により,相続が生じた場合でも,急遽,特例措置を適用することができます。ただ,相続の場合でも提出期限は変わらないため,余裕をもって計画を策定しておいた方が安心です。

 

 

■更正の請求は不可 

 

 贈与等の時期は問われないとはいえ,特例措置では,相続税等の期限内申告書に計画の申請書の写しや確認書の写しなどの一定書類を添付しなければなりません。よって,先述したように都道府県に対する計画の提出が期限内であり,かつ,その提出が税務署への申告前までに完了している必要があります。計画の提出が税務署への 申告後 となってしまった場合には,更正の請求をしたとしても特例措置を適用することはできません。
(出典:2018年税務研究会『週間税務通信NO.3506号』 P52)

 

 事業承継税制の特例を適用してみようかな、あるいは興味があるが特例の納税猶予の条件を守れるのか不安に思っているなどの場合、平成35年3月31日までの5年間の間に、先ず、上記の特例承継計画書を出しましょう。計画書提出した後の状況も変わります。そして、提出した計画書の計画通り進めていくか、あるいは計画を修正又は変更して、実行していくかなど、その状況変化の都度検討して対応することが可能です。
 上記の特例承継計画書提出、変更などには、公認会計士、税理士、金融機関などのうち認定経営革新等支援機関として登録されている者の指導及び助言を受けた旨の記載が必要ですので、認定経営革新等支援機関(中小企業庁HP参照)に相談してみましょう。

 

※当ブログの内容は、税制の概要などの情報発信を目的としています。簡便性や分かりやすさを重視し、細かな適用要件などを省いている場合もあります。実際に申告等される際には、税理士または納税地の税務署にお問い合わせください。
2019.01.15|お知らせ